増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
微生物学的検査
細菌関連検査
肺炎球菌
生方 公子
1
,
岩田 敏
1
1慶應義塾大学医学部感染症学教室
pp.534-535
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223374
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検査の概要,異常値の出るメカニズム
肺炎球菌,インフルエンザ菌,あるいはレジオネラ菌などによる感染症例の尿中には,菌体細胞壁成分が排出されることが古くから知られている.この菌体成分を抗原としてイムノクロマトグラフィで検出できるように開発されたのが「尿中肺炎球菌莢膜抗原迅速診断キット」などである.肺炎球菌の迅速診断キットでは,現在94種ある莢膜のうち,23種類を抗原とし,それらの莢膜を保持する肺炎球菌を検出することが可能とされる.
成人呼吸器感染症では喀痰を検体として用いる場合が多いが,口腔内に棲息する多くの常在細菌が混入しやすいこと,またすでに抗菌薬が投与されている場合も多く,培養で肺炎球菌を検出し難いことがある.尿中へ排出された抗原は血中の抗原が濃縮されており,その診断的意義は大きい.
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