増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
微生物学的検査
細菌関連検査
インフルエンザ菌
生方 公子
1
,
岩田 敏
1
1慶應義塾大学医学部感染症学教室
pp.532-533
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223373
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検査の概要,異常値の出るメカニズム
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)には,多糖体からなる莢膜(a,b,c,d,e,fの6種類)を有する菌と,莢膜を有しない菌(無莢膜型:nontypable:NT)とがある.莢膜を保持する菌のなかでは,b抗原を保持するインフルエンザ菌(Hib)が乳幼児期における化膿性髄膜炎の原因としてその60%を占め,臨床的に最も重要な菌であったが,結合型Hibワクチンの導入に伴い激減した1).成人ではHibに対する抗体を保持するため,Hib感染症はきわめて稀である.臨床的には無莢膜型菌が問題となり,肺炎,COPDなどの悪化時の原因となっている.この無莢膜型インフルエンザ菌の短時間検出用として,菌体成分のP6蛋白を抗原とするELISA法が開発されている.
肺炎球菌と同様に,インフルエンザ菌も気道に常在菌として棲息することがあり検査時には注意を要するが,インフルエンザ菌が原因として疑われる急性中耳炎,副鼻腔炎例を対象に本菌の関与を把握することは,臨床的意義が大きい.
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