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連載 臨床医のための微生物学講座・Vol.4
肺炎球菌
-――ワクチン導入により変化する肺炎球菌感染症
Streptococcus pneumoniae--Changing pneumococcal infection after the introduction of pneumococcal vaccines
石和田 稔彦
1
Naruhiko ISHIWADA
1
1千葉大学真菌医学研究センター感染症制御分野
キーワード:
肺炎球菌感染症
,
血清型
,
肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)
,
薬剤耐性
Keyword:
肺炎球菌感染症
,
血清型
,
肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)
,
薬剤耐性
pp.686-690
発行日 2024年2月24日
Published Date 2024/2/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28808686
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◎肺炎球菌は,小児から高齢者まで幅広い年齢層に侵襲性感染症(IPD)と呼吸器感染症を惹起する重要な細菌である.小児への13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)定期接種化により,小児のIPDは大きく減少した.また,小児の呼吸器感染症,成人のIPDに占めるPCV13含有血清型の割合も低下してきている.その一方,PCV13非含有血清型によるIPDが増加しており,そのなかには,多剤耐性菌による重症感染症も認められ,臨床上問題となっている.今後の課題として,肺炎球菌感染症ハイリスク者へのワクチン接種勧奨と,ワクチンの効果を正しく評価するための分離菌の血清型解析を含むサーベイランス調査の継続があげられる.また,臨床医はIPD診療にあたり,肺炎球菌ワクチン接種歴を聴取することを心がけることも重要である.新しいPCV15の国内への導入により,今後,どのように肺炎球菌感染症の疫学状況が変化していくのか注視していく必要がある.
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