増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
蛋白
クリオグロブリン血症
秋山 雄次
1
1埼玉医科大学リウマチ膠原病科
pp.142-143
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223231
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検査の概要
体温以下への冷却で白色に凝集し,37℃以上に加温すると再溶解する血清中の異常蛋白をクリオグロブリン(cryoglobulin)と呼び,そのクリオグロブリンが血中に増加した状態をクリオグロブリン血症という.基礎疾患が不明な本態性と,膠原病などの自己免疫疾患,感染症,リンパ増殖性疾患などに伴って発症する続発性に分かれる.また,クリオグロブリンを形成する免疫グロブリンの性状により3型に分類することが多い(表1).すなわち,単一のモノクローナルな免疫グロブリンからなるⅠ型,ポリクローナルなⅢ型,混合するⅡ型である.Ⅱ型はリウマトイド因子活性をもつモノクローナルIgMとポリクローナルIgGが免疫複合体を形成したもので,Ⅲ型はリウマトイド因子活性をもつポリクローナルIgMとポリクローナルIgG(稀にIgA)が免疫複合体を形成したものである.
症状としては皮膚症状が最も多く末梢循環不全によりRaynaud現象,四肢末端のチアノーゼ,網状皮斑,寒冷蕁麻疹,紫斑などを呈する.腎糸球体にクリオグロブリンによって生じた免疫複合体が多量に沈着すると糸球体腎炎を引き起こし蛋白尿,血尿,ネフローゼ症候群などを呈する.その他,関節痛,筋痛,末梢神経障害,腹痛,消化管出血,肝脾腫などをきたす.
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