目でみる症例―検査結果から病態診断へ・11
クリオグロブリン血症
河野 均也
1
Kinya KAWANO
1
1日本大学臨床病理学講座
pp.1253-1256
発行日 1993年11月15日
Published Date 1993/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901807
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検査結果の判定
1.クリオグロブリンであることの確認
患者血清を一夜冷蔵保存したところ,図1右に示したように多量の白濁沈殿物が観察された.本例ではヘマトクリット用毛細管に血清を詰め,冷却した後にヘマトクリット用遠心機で遠心し,寒冷沈殿した蛋白の量を測定するクリオクリット法で検討したところ,6%に及ぶクリオグロブリンが証明された.多量のクリオグロブリンはM―蛋白血症に際して証明されることが多く,また,微量のものは全身性エリテマトーデス(SLE)をはじめとする自己免疫性疾患に際してしばしば証明され,血液中を流れる免疫複合体であるという見かたがなされている.
クリオグロブリンと同様に寒冷に血漿を保存したとき白濁沈殿する蛋白にクリオフィブリノゲンがあり,両者を区別することは病態診断上非常にたいせつなことである.クリオグロブリンであることの確認には,寒冷による白濁沈殿が37℃に加温したときに再び溶解することを確認する必要がある.本例では図1左に示したように,37℃の加温により白濁沈殿物はきれいに再溶解し,クリオグロブリンであることが確認された.
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