呼吸器疾患診療メモ
ベッドサイド呼吸器病学(2)—胸郭外理学所見と呼吸器疾患
宮城 征四郎
1
1沖縄県立中部病院
pp.2468-2469
発行日 1989年11月10日
Published Date 1989/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222961
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呼吸器は他臓器との関係がきわめて密であり,呼吸器疾患の診断に胸郭外の理学所見が重要な手掛かりとなることが少なくない.そして,呼吸器の核心に迫る前に,あたかも徳川家康の"大阪城攻め"における外堀埋めのように,胸郭外の所見を注意深く埋めていくことが大切なのである.呼吸器臨床といえどもcomplete physical exami-nationが要求される所以である.以下に,筆者が日常のベッドサイドの診療に資している胸郭外所見の数々を思いつくままに列挙してみたい.
①全身状態体重減少やるい痩は慢性消耗性疾患を疑わしめ,悪性腫瘍,慢性感染症(肺結核,肺膿瘍,膿胸,放線菌症など),過換気を伴う慢性呼吸不全(肺気腫,肺線維症,肺結核後遺症)などに多い.肥満は肺胞低換気を伴いやすく,末梢性の睡眠時無呼吸症候群の原因となる.粘液水腫や全身浮腫は,それだけでも呼吸筋機能障害の原因となるばかりでなく,内分泌学的,肺・循環生理学的障害による呼吸不全をももたらしやすい.
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