増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液化学検査
119.クロール(Cl)
鈴木 洋通
1
1慶応義塾大学医学部・腎内分泌代謝科
pp.1912-1913
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222808
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クロライド(Cl)イオンは細胞外液の主要な陰イオンであるが,Clの変化はナトリウム(Na)イオンの変化に対応もしくは酸塩基平衡に関与することが多い.一般に血清中のNaとClの比は1.4:1と考えて差し支えない.脱水状態では高Na血症となり,たとえばNa濃度が140から154mEq/Lに上昇した場合は,Cl濃度は100から110mEq/Lに上昇する.逆に溢水状態では,Na濃度が140から133mEq/Lに低下すると,Cl濃度は95mEq/Lに低下すると考えて差し支えない.
もしこれらの均衡状態が保たれていない場合には,酸塩基平衡の変化に目を向ける必要がある.すなわち,Na濃度に比し,より低Cl血症がみられるときには,代謝性アルカローシスもしくは代償性の呼吸性アシドーシス(多くは慢性)を考える.逆にNa濃度に比し,より高Cl血症がみられるときには,高Cl性代謝性アシドーシスもしくは慢性呼吸性アルカローシスの存在を疑う.
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