増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
免疫血清検査
72.補体価と補体蛋白
出口 雅子
1
,
竹村 周平
1
,
近藤 元治
1
1京都府立医科大学・第1内科
pp.1796-1798
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222761
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補体とは約20種類の酵素系蛋白の総称で,生体の免疫反応の過程で活性化され,種々の生物活性を現す反応系である.補体の活性化には,主として抗原抗体複合物によってC1(C1q,r,s),C4,C2,C3,C5,C6,C7,C8,C9の順に活性化が進む古典的経路(classical pathway)と,微生物由来の多糖体などによりC1,C4,C2を介さず,直接C3が活性化される第二経路(alternative pathway)がある.補体を構成する蛋白としては,両経路に関与する成分の他に,C1 esterase inhibitor(C1 INH),Factor I,Factor H,C4 binding protein(C4 bp)などの制御蛋白がある.
抗体により感作されたヒツジ赤血球(EA)はC1を活性化し,その結果,赤血球膜上で次々と補体成分の活性化が生じる.C9まで補体成分が反応すると,細胞膜に孔があき溶血する.この原理により測定されるのが補体価(CH 50)で,1CH 50とは,7.5ml反応液中に存在するEA 5×108個の50%を37℃,60分間で溶血させるのに必要な補体量のことである.C1からC9にいたる活性を総合的に反映する補体価は,補体系異常を知るスクリーニング検査として広く用いられている.
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