今月の主題 輸血の実際と血液製剤
内科医のための輸血の実際
自己免疫性溶血性貧血の輸血
中山 志郎
1
1神戸市立中央市民病院・免疫血液内科
pp.594-595
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222394
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●病因
自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia;AIHA)は,産生される自己抗体の性状より温式AIHA,寒冷凝集素症(cold agglutinindisease;CAD),および発作性寒冷血色素尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria;PCH)の3病型に分類される.
1)温式AIHA体温(37℃)付近で自己赤血球と結合する温式抗体が出現する.抗体の免疫グロブリンは主としてIgGであるが,IgM,lgA,ないしその組み合わせのことがあり,また抗補体で反応するものがある.血液型特異性はなく,いずれの血液型の赤血球をも凝集するpanagglutininの性格を示すものが多い.しかしRh血液型特異性を示すことがあり,とくに抗e抗体の性質をもっものが多い.感作赤血球は主に脾臓で捕捉,除去される(血管外溶血).補体が活性化されて溶血に関与することはほとんどない.貧血は重症で,しばしば輸血が必要となる.
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