消化器疾患診療メモ
「早期診断」は本当に有用か
上野 文昭
1
1東海大学大磯病院・内科
pp.2908-2909
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222256
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「早期診断」の定義:ある疾患を症状発現以前にみつけること.
(例1)A氏は一流企業のエリートサラリーマンでした.これまで仕事一筋に打ち込んできて体力には自信がありました.40歳になったのを機会に人間ドックを受けてみたところ,肝機能検査に異常があるといわれました.精密検査を受けるように勧められ,某院に入院し肝生検の結果,非活動性の慢性肝炎と診断されました.とくに治療の必要はないといわれたものの,どうしても肝炎のことが頭にこびりついて離れませんでした.これまで遅くまで仕事をしてクタクタに疲れてもたいして気に止めませんでしたが,これ以来すべて肝臓に結びつけるようになりました.仕事をしていても常に肝臓のことが心配で集中できず,休みがちとなり,ライバルが昇進していくのを横目で見ながら頻繁に休むようになり,ついに給与もカットされるようになりました.
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