神経疾患診療メモ
クモ膜下出血の誤診を避けるために
豊永 一隆
1
1沖縄県立中部病院・内科(神経内科)
pp.2910-2911
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222257
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クモ膜下出血は脳動脈瘤の破裂により起こる場合が最も多いが,典型的な病歴と脳CTスキャンの結果を参考にすればその診断は比較的容易である.しかし非定型的な発症をする症例や,CTを行ってもクモ膜下腔に血腫の存在を示す高吸収域が認められない症例では,診断が遅れたり見逃されてしまう.動脈瘤の再破裂の時期は初回発作後2週間以内が多いとされていたが,最近ではもっと早く起こるとされ,それも24時間以内が多いといわれている.周知のとおり,再破裂を起こした症例の死亡率は40%の高率である.したがって,クモ膜下出血による死亡率を低下させるには,血管攣縮の予防とともに,再破裂を起こす前に的確な診断を下すことが大切である.
本院では年間約400名の脳血管障害の患者を診療しているが,そのうち脳動脈瘤の破裂によるクモ膜下出血の患者は35名前後である.本院では初診は研修医により行われるが,やはり年に1,2件は診断のミスが生じている.これらの中にはクモ膜下出血をまったく疑われなかった症例もある.しかし,CTまで行われたものの異常がないので髄液検査が行われず,帰宅可となった症例のほうが多い.クモ膜下出血の診断では表に示すような種々の原因により誤診が起こってくる.今回はこのような誤診をさけるための診療上のポイントについて述べる.
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