増刊号 診断基準とその使い方
IX.腎・尿路
37.不均衡症候群
木野 恭子
1
,
秋沢 忠男
1昭和大学藤が丘病院・内科
pp.2192
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222056
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■診断基準(表)
■疾患概念と疫学
不均衡症候群とは,腎不全患者血中の貯留物質が血液浄化法(主として血液透析)により除去されることに起因する症状を総称し,狭義には血漿・脳組織間の,広義には各体液コンパートメント間の溶質バランスの異常に基づく症状と定義される.発症頻度は諸透析技法により異なるが,広義には50%を越える.
Kennedyらにより,急激な透析に伴い頭痛,悪心,嘔吐,不安感,視力障害,譫妄状態,意識障害,全身痙攣,昏睡などを生ずる症候群として報告された(1962年).彼らはそのメカニズムを,脳から血液関門を経て血漿中へ移動する溶質の移行速度は,血漿から透析により体外に除去される速度に比して遅く,血漿と脳との間に尿素濃度較差が生じ,それによる浸透圧差を是正するため血漿より脳に水の移動が起こり,脳浮腫,脳圧亢進をきたすと説明した(reverse urea effect).
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