研究
児頭骨盤不均衡の診断と対策
鈴村 正勝
1
,
武井 二郎
1
,
松木 玄篤
1
Masakatsu Suzumura
1
1日本医科大学第1病院産婦人科
pp.465-474
発行日 1967年6月10日
Published Date 1967/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203714
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はじめに
児頭骨盤不均衡は,私たち産科医にとつては,日常の診療に遭遇するありふれた問題である。しかし,この診断法にいたつては多くの問題が未解決のまま残されているのにもかかわらず,特に最近の感染の予防および治療の画期的な進歩による帝王切開の普及により,経腟分娩を避けて,帝王切開に逃げる傾向が本問題の研究にブレーキをかけているのが現状と思われる。分娩という現象において,産道を通る必要があるのか,あるいは産道を通らない方が良いのかという問題は,絶対的の価値判断が下されない以上は解決されない問題ではあるが,少なくとも母体にとつては帝王切開およびその後遺症の影響は経腟分娩よりもきわめて大きいことは議論の余地がないと思う。しかし,経腟分娩によつて帝王切開以上の損傷(例えば子宮破裂,頸管裂傷)等が予想される場合,または児に重大な影響を与える場合には,経腟分娩を避けるべきである。この場合に,ともかくも一旦経腟分娩を行なわせて,分娩経過が障害された場合に,はじめて帝王切開に切り換えても決して遅くはないというのが,一般的な見解であろう。私たちもこの立場をとるものである。
しかし,分娩が開始しなくても,通過困難という限界外にある例は,予防的に帝王切開にふみきるべきである。
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