増刊号 診断基準とその使い方
VII.血液
10.Congenital Dyserythropoietic Anemia(CDA)
山口 延男
1
1神戸大学医学部・臨床検査医学
pp.2024-2026
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221989
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■疾患概念と疫学
CDA(congenital dyserythropoietic anemia;先天性赤芽球異常症または先天性赤血球異形成性貧血の訳語が充てられている)は赤芽球の特異な形態異常と貧血,間欠的黄疸,肝脾腫などの症状を伴い,やがて鉄過剰症やその合併症(糖尿病,肝硬変,性腺機能障害など)を来す先天性遺伝性疾患である.血球異常は赤血球系に限ってみられ,白血球系や巨核球血小板系の異常はまずみられない.赤芽球の形態異常と赤血球膜の血清学的特徴から通常3病型(CDA I,II,III型)に分類されているが,それ以外の非定型例(IV型その他変異型)もありなお病態解析が必要である.かなりまれな疾患で欧米で百数十例(1型16家系17例,II型55家系84例,III型4家系23例-1976年),わが国で15例程度(I型3家系,II型2家系,III型2家系-1985年)が報告されている.男女にみられ,常染色体性遺伝で,I,II型は劣性,III型は優性と考えられている.なお,全体を通じて遺伝歴が証明されるのが約60%,他は散発例ないし不明例である.
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