今月の主題 今日の血液形態学
白血病細胞の形態学
Refractory anemia with excess of myeloblasts
朝長 万左男
1
Masao TOMONAGA
1
1長崎大学医学部付属原爆後障害医療研究施設・後障害治療部門
pp.1208-1210
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216631
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概念
骨髄における病的骨髄芽球の増加により診断された急性骨髄性白血病AMLの大部分は急性の経過をとるが,一部には比較的緩慢に経過するsmouldering typeやlow percent(oligoblastic)typeなどの非定型例が存在する.しかしこれらも,その生存が無治療で年余に達することは稀である.一方,数カ月〜数年の血球減少症の期間を経てAMLに移行した症例のretrospectiveな研究により前白血病状態(preleukemic states)の概念が確立されているが,近年はこれをprospectiveに診断する方向にあり,preleukemic syndrome1)やhemopoietic dysplasias2〜4)などの診断名が用いられつつある.
1970年フランスのDreyfus3)らは,非定型的白血病とpreleukemic statesの境界領域にあると思われる症例を多数検討し,末梢血では血球減少症(時に幼若顆粒球の出現をみる)が存在し,骨髄では10〜40%の骨髄芽球(原著ではmyeloblast+promyelocyteの和で幼若顆粒球群の意)の増加を伴って各成熟段階の顆粒球が成熟障害像を示しつつ存在する,一見AMLを思わせる症例の中に,無治療で年余にわたって生存する症例のあることに注目した.そしてこれらの症例は,AMLの過半数に寛解をもたらす通常の化学療法にもほとんど反応しない.
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