増刊号 診断基準とその使い方
VII.血液
9.脾機能亢進症
刈米 重夫
1
,
出羽 和
1
1福島県立医科大学・内科1講座
pp.2022-2023
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221988
- 有料閲覧
- 文献概要
■診断基準(表)
■診断基準の作成された経緯
脾機能亢進症として,上記の条件に当てはまる疾患としては,いろいろ挙げられている.Primaryのものと,secondaryのものがあるというのが共通した意見である.Dameshek(1955)によれば,亜急性ないし急性感染症の脾腫,種々の門脈圧亢進症,Gaucher病などの脂肪代謝異常症の脾腫,脾原発のリンパ肉腫,チステや過誤腫など比較的良性なものを含む腫瘍,たいした障害もなしに脾腫のみの有る例などを脾機能亢進症として挙げている.彼は脾機能亢進症のcytopeniaは脾腫が造血抑制物質を過剰に産生するためと考えているようである.Crosby(1966)のころには,RI標識血球を用いた血球動態の観察から,脾機能亢進症の概念の把握がより確実になっている.すなわち,脾機能亢進症では脾に大きな血球プールが形成され,血球の貯留があることを指摘した.溶血性貧血例にRI標識自己赤血球を投与すると,放射能は脾に集まり,赤血球が濃縮されていることを指摘した.特発性血小板滅少性紫斑病では,脾において血小板の破壊の亢進があるが,患者の血漿中にある自己抗体のせいで,脾の異常によるわけでなく,骨髄の巨核芽球が未成熟のものが多いのは,造血抑制のためでなく血小板の産生亢進のためである.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.