増刊号 診断基準とその使い方
VII.血液
5.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
伊藤 和彦
1
1京都大学医学部・輸血部
pp.2012-2013
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221984
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■疾患概念
TTPは病因不明で急性経過をとる予後不良の疾患である.毛細血管および細動脈に血栓が多発性に形成される.これによりMoschowitz 5徴候と呼ばれる出血,溶血性貧血,神経精神症状,腎機能障害,発熱が出現する.適切な治療をしないと大部分の症例は死亡する.死亡した症例の約半数は診断後1週間以内に死亡している.この点からも早期診断,早期治療が重要である.
病因は不明であるが,治療効果などから複数の病因の存在が推測されている.特発性が大部分であるが,続発性と考えられる症例もある.特発性のなかに家族発症例があり,遺伝的素因の存在が推測される.伝染性はない.
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