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血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)は,1924年にMoschcowizによって報告された疾患であり1),1966年にAmorosiらによって①破壊性血小板減少,②細小血管障害性溶血性貧血(microangiopathic hemolytic anemia:MAHA),③動揺性精神神経障害,④血小板血栓による腎障害,⑤発熱,の古典的5徴候が報告された2).全身性重篤疾患で主として成人に発症する.TTPの類縁疾患として,溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)があり,両者を鑑別することが困難な場合には,両者を合わせて血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy:TMA)と診断される.
TTPは,止血因子であるvon Willebrand因子(von Willebrand factor:VWF)の特異的切断酵素ADAMTS13(a disintegrin-like-and metalloproteinase with thrombospondin type-1 motifs 13)の活性の低下により発症する.VWFは血管内皮細胞で超高分子量VWF多重体(unusually-large VWF multimers:UL-VWFM)として産生され,ADAMTS13による切断,小分子化の後に内皮細胞から放出される.ADAMTS13活性が著減すると,UL-VWFMが血中に蓄積し,高ずり応力下で血小板凝集を引き起こし,病的動脈血栓を生じる.
TTPには先天性と後天性があるが,大半は後天性である.先天性TTPはUSS(Upshaw-Schulman syndrome)と呼ばれ,遺伝子変異(染色体9q34の変異)により,ADAMTS13の欠損を生じる.後天性TTPは,ADAMTS13に対するインヒビターの出現などにより発症する.大半は後天性である.後天性TTPの致死率は15〜20%であり,治療としては血漿交換などが行われる.
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