増刊号 診断基準とその使い方
VII.血液
3.免疫性溶血性貧血
小峰 光博
1
1群馬大学医学部・第3内科
pp.2008-2009
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221982
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■疾患の概念と分類
赤血球破壊の亢進が免疫学的な機序によってもたらされる溶血性貧血群で,表のように①自己免疫性,②同種免疫性,③薬剤起因性に大別される.赤血球膜上の抗原に向けられたか,あるいは元来赤血球とは無関係の薬剤に向けられた抗体が産生され,免疫反応の結果赤血球膜が傷害されて早期崩壊に至る.抗原抗体反応は赤血球膜上で直接起こることも,また薬剤起因性の一部の場合のように血中で生じた免疫複合体が赤血球膜上に沈着する形を取ることもある.これに補体の活性化が加わることが多い.傷害赤血球は多くの場合,網内系細胞に捕捉貧食されて崩壊するが,抗体の性質や反応の激しさにより血管内溶血が主なこともある.溶血の様式には抗体の免疫グロブリン種,補体結合性,反応至適温度などが関与しており,各病型に特有の臨床像とも対応している.自己免疫性の場合は,臨床経過から急性(数カ月)と慢性に,また先行ないし随伴する有意の基礎疾患の有無により続発性(2次性),特発性(1次性)に区分される.
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