増刊号 診断基準とその使い方
VI.代謝
6.高脂血症
松沢 佑次
1
,
垂井 清一郎
1
1大阪大学医学部・第2内科
pp.1958-1962
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221968
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高脂血症とは脂質(原則としてコレステロールとトリグリセライド)の血中レベルが正常以上に高値を示す病態を指し,原発性高脂血症と,原因となる諸疾患や薬剤による2次性高脂血症に分けられるが,ここでは原発性高脂血症について述べる.原発性高脂血症自体も単一の疾患ではなく,種々の病態の総称であり,しかもそれぞれの病因がすべて明らかにされているわけではないため,従来その診断基準については,一部の特異な病態に対してのみ論じられていたにすぎず,すべての病態についての疾患単位も明確にされていなかった.また脂質は血中では種々のリポ蛋白〔カイロミクロン,very low density lipoprotein(VLDL),intermediate density lipoprotein(IDL),low densitylipoprotein(LDL),high density lipoprotein(HDL)〕に分布して存在していることから,脂質の増加が,どのリポ蛋白の増加に基因するのかを考慮した分類,いわゆる表現型の分類(I型,II a型,II b型,III型,IV型,V型)が比較的広く知られ,高脂血症の診断として用いられてきたが,これはあくまで病態の分類であって,決して病因に対応した疾患単位の分類ではなかった.
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