今月の主題 狭心症—各種治療手段の適応
薬物療法
高脂血症治療薬
松沢 佑次
1
1大阪大学医学部・第2内科
pp.1522-1523
発行日 1986年9月10日
Published Date 1986/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220526
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高脂血症と虚血性心疾患
動脈硬化の危険因子として脂質代謝異常が重要な位置を占めることが多数の疲学的調査によって明らかにされてきた.欧米に比べ脂肪摂取が少なく,血清コレステロール値の低いわが国においても近年の食生活の変化とともに,高脂血症やリポ蛋白異常を伴う虚血性心疾患(IHD)の発症が急速に増加しつつある.とくに,LDL-レセプター異常に基づく家族性高コレステロール血症(FH)は若年時より動脈硬化を伴い,人口1,003人に1人の発症率であるホモ接合体はともかく,ヘテロ接合体は,500人に1人と発症率が高いため,わが国のIHDに占める位置は大きい.本症は血清コレステロール(Ch)の上昇,皮膚や腱黄色腫,角膜輪などを特徴とし,確定診断にはfibloblastを用いたLDLレセプター分析が必要であるが,厚生省特定疾患原発性高脂血症研究班では,(1)血清Ch値260mg/dl以上でアキレス腱肥厚(軟線撮影またはxerographyで腱厚10mm以上)の存在する場合,(2)血清Ch値260mg/dl以上で,腱黄色腫(-)でも家族内に(1)の基準を満たす例が存在する場合をFHの診断基準としている.本症のホモ接合体ではIHD発症率は100%であるが,ヘテロ接合体でも高率に発症し,男性では50歳を越えると80%がIHD陽性である.
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