増刊号 診断基準とその使い方
III.消化管
20.過敏性腸症候群
佐々木 大輔
1
1弘前大学医学部・第1内科
pp.1830-1831
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221911
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■疾病概念と疫学
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)とは,腸管やその関連臓器,さらに全身の臓器に器質的な病変がないにもかかわらず,便通異常を訴え,大腸を主とした腸管の機能異常のある状態といえる.IBSの病態を検討してもIBSに特異的な所見は得られない.IBSは単一あるいは複数の疾病としての症候群ではなく,便通異常や腹痛を主とした症状群である.しかし,幾つかの症状があればよいというものでもない.消化管の機能の亢進が持続的または間歇的に存在している状態を指すのである.
IBSの頻度は消化器疾患の中でも高く,日常臨床において遭遇する機会が多い.当科の集計では外来患者の1.7〜2.4%を占める.性比は1:1.7と女性に多い.年代別には20歳代から40歳代に多く,60歳以上の症例は少ない.
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