増刊号 診断基準とその使い方
III.消化管
5.Ménétrier病
正宗 研
1
,
千葉 満郎
1
1秋田大学医学部・第1内科
pp.1791
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221896
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■疾患概念と疫学
Ménétrier病は,Ménétrierの論文「Des polyadenomes gastriques et de leurs rapports avecle cancer de l'estomac(Arch Physiol NormPathol 1:32-35,236-262,1888)」,「胃のpolyadenomeと,それと胃癌との関係」に記載された7例のうち2例を,胃の腺腫性ポリープが横に連続的に広がったものと解釈して,polyadenomesen nappe(ナプキンを広げたようなpolyadenoma)と呼称した疾患である.多賀須は,Ménétrier病を胃粘膜の著しい増殖によって,胃粘膜襞が脳回転様にまで巨大になった病変と定義している.病理学的に,Ménétrier病では脳回転様,胎盤様と表現される切除胃の肉眼所見がきわめて特徴的である.病変の占拠部位は胃体部大彎がほとんどで,幽門前庭部が冒されることは稀である.幅1.5cm,高さ3〜4cmにも達する,光沢のある巨大皺襞が深い溝で隔てられているほか,皺襞の上に深い切れ込みがあり,顆粒状を示している.かつ,粘膜表面は多量の粘液で覆われている.
組織所見の特徴は,胃底腺領域を中心に固有胃腺,腺窩上皮の過形成による胃粘膜層の著明な肥厚である.
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