検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
カルシウム調節ホルモン
福本 誠二
1
,
松本 俊夫
1
,
尾形 悦郎
1
1東京大学医学部第4内科
pp.21-25
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203959
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成人は,体内に約1000gのカルシウム(Ca)を保有している.このうち99%強は,骨にハイドロキシアパタイト〔Ca10(PO4)6(OH)2〕の形で存在している.残りの生体内Caのうち,1%弱が細胞内に,約0.1%が細胞外液中に存在する1).細胞外液中Caのうち50%近くは遊離Caイオン(Ca2+)の形で存在するが,残りの50%強はアルブミンなどの蛋白と結合するか,塩の形で存在している.このうち細胞機能の調節上必須の役割を演じているのは,Ca2+である.したがって細胞外液Ca2+濃度は,狭い範囲に厳密にコントロールされる必要がある.
病的な蛋白異常や酸・塩基平衡異常などが存在しない限り,血清CaのうちCa2+として存在する部分の割合は一定であるので,血清Ca2+濃度のみならず血清総Ca濃度も,8.5〜10.2mg/dlという比較的狭い範囲内に保たれている.この血清Ca2+濃度の恒常性の維持のうえで必須の役割を演じているのが,副甲状腺ホルモン(PTH),活性型ビタミンD,カルシトニン(CT)といったCa調節ホルモンである2).
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