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特集 カルシウムイオンを介した調節機構の新しい問題点
シナプス可塑性のカルシウム濃度レベルによる調節メカニズム
Mechanisms underlying relugation of synaptic plasticity by the level of Ca2+ rise
津本 忠治
1
Tadaharu Tsumoto
1
1大阪大学医学部バイオメディカル教育研究センター高次神経医学部門
pp.184-191
発行日 1993年6月15日
Published Date 1993/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900551
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筋収縮,細胞内情報伝達など,生体内のほとんどすべての細胞機能が微量のCa2+によって制御されていることはよく知られている。本特集では,この制御機構の新しい問題点が多くの観点から解説されると思われるが,本稿ではシナプス可塑性のCa2+による制御機構について最近明らかとなってきた問題点を述べたい。
脳内の神経細胞(ニューロン)間の接点であるシナプスは,一定の入力によってその伝達効率を変えることが知られている。たとえば,特定の入力後伝達効率が長期持続的によくなったり(シナプス長期増強),あるいは悪くなったり(長期抑圧)する。現代の神経科学研究者の多くは,このようなシナプス伝達効率の変化が,記憶や学習あるいは環境に対する脳機能の適応的変化の基礎にあると考えている。
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