今月の主題 老人診療のポイント
健康維持のために
知的機能
長谷川 和夫
1
1聖マリアンナ医科大学・神経精神科
pp.1380
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221804
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高齢期における知的機能の低下を起こす要因を考えてみると,次の二つが大切な要因としてあげられる.
1)教育歴 教育歴は,知的水準の維持や低下に影響する重要な因子とされる.教育水準の高いものは,高齢期に入って知能の衰退を来すことが少ないとされている.ただ学歴の高いものは,一般に若い頃から生涯を通じて知的活動を続ける機会や職業についたり,あるいは比較的水準の高い生活を保障されているので,単に学歴だけが要因とは考えにくい.
2)身体健康 Birrenの指摘するように高齢期の知能に最も強い影響をもつのは身体健康である2).要するに高齢になるほど知的機能と全身的な健康状態とは密接に関連していて,身体的活動性の高い老人は知的水準も高く,また身体不健康で低い活動性の老人は,知的機能も低下する傾向がみられる.
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