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精神機能の中で加齢による影響をとくに受けやすいのは知的機能注1)cognitive function/intellectual functionである。誰でも年をとれば知的機能にある程度の衰えを生ずることは避けられない。たとえ健康で知能優秀な人であってもこのことはもちろん例外ではない。知的機能の老化という問題は多くの人々にとって重大な関心事の一つである。知的機能の加齢変化に関する科学的研究が始められてからおよそ60年になるが,この間にこの領域にも着実な研究の進歩は認められる。初期の研究においては老化による知的機能衰退が過大に評価される傾向があったが,その後の研究によってそれは修正された。老化による衰退はかつて考えられていたほど大きなものではないこと,知的機能の中に加齢によって容易に衰えない部分があることなどが明らかになっている。本稿ではまず,知的機能の老化に関するこれまでの研究成果について概説する。次いで知的活動性の高いいわゆる優秀老人の知的機能について,筆者らの調査研究を中心に述べる。そして第三に超高齢者における知的機能の実態を紹介しながら,正常老化の極限における知的能力と病的な知能障害である痴呆との異同について言及する。
Abstract
1. Review of psychological studies on aging and intelligence
It was about 60 years ago that the psychological study on aging and intelligence was begun, and the study in this field has been developing steadily during these years. Many useful data were accu-mulated and methodology of the study were ex-amined. In early studies intellectual decline with aging tended to be overestimated, but it was corrected later. At present the intelligence of aged persons is not thought to be much lower than that of young adults and does not decline sharply with age.
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