今月の主題 今日の心不全診療
心不全の治療方針
外来治療の問題点
増田 善昭
1
1千葉大学医学部第3内科
pp.608-610
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221615
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心不全は心機能低下の臨床的表現であり,その多くは慢性状態に移行し,長期間の外来治療が必要になる例が多い.また,種々の心疾患患者では症状がなくとも潜在性の心不全状態にあり,これに対する生活指導,薬剤療法も必要である.ここでは,軽症で比較的症状の安定した心不全患者の外来治療の問題点をとりあげることにした.
外来患者診療の基本的問題点は,患者と医療機関のふれあいが少なくなることであり,これにより多くのトラブルが生ずる.しかし,一方,プライバシイを守れる自由な生活,家族と一緒にいられることの喜び,経済的負担の少ないことは病気の治療にも好影響を与えることが多い.Weedの提唱したPOS(problem-oriented system)によるならば,医師は,患者が自分のかかえている問題が何であるか,それを解決する方法が何であるかを正しく理解し,かつ,その結果を自分で評価できるように診療を進めていかなければならないが,そのため,外来診療では入院時以上に患者と医師の相互理解が大切になる.たとえば,患者に病状の日誌をつけさせること,家族への十分なコンタクトをとること,病状チェックのための短期間の入院を時々行うこと,通院困難な例では定期的な往診を行うことなどが必要である.
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