今月の主題 消化性潰瘍とその周辺
消化性潰瘍と類縁疾患
急性潰瘍と慢性潰瘍の概念
福地 創太郎
1
1虎の門病院・消化器科
pp.470-472
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221584
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単に胃潰瘍,十二指腸潰瘍というときは,慢性潰瘍を意味していることが多い.潰瘍は再発しやすい疾患であるとか,潰瘍症として捉えられる病態がそれである.他方,急性潰瘍は急性胃粘膜病変(AGML:acute gastric mucosal lesion)あるいは急性胃病変を構成する病変であり,一般の胃潰瘍,十二指腸潰瘍とは,発生様式,内視鏡所見も異なり,短期間に治癒し,再発することも少ない点で,臨床的に異なった疾患と考える見解が,臨床家の間では有力である.しかし,昔から,びらんや急性潰瘍から慢性潰瘍が生ずるという見解は一部の学者にあり,現在でも,後記するように急性胃病変と慢性潰瘍の関連を想定する意見が一部にある.急性潰瘍と似て非なるものに,慢性潰瘍の急性増悪がある.また慢性潰瘍でも初発の潰瘍は未だ潰瘍底の線維化を伴わない急性潰瘍と,類似した組織像を示す時期があると推定されるが,これは通常の急性潰瘍とは別個に扱われるべきであろう.
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