臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
IV.消化管疾患
4.食事療法のコツと注意
十二指腸潰瘍—成人
福地 創太郎
1
1虎の門病院消化器科
pp.1906-1907
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208195
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消化性潰瘍の食事療法の基本
胃・十二指腸潰瘍は,胃液中の酸およびペプシンによる胃壁の自己消化により発生するものと信じられているが,とくに十二指腸潰瘍では迷走神経緊張亢進により,胃液基礎分泌が亢進するばかりでなく,食事性刺激によるガストリンを介する体液性の胃液分泌が亢進している.したがって,消化性潰瘍の食事療法の基本としては,古くから攻撃因子としての胃液の分泌を促進せず,防御因手としての粘膜を庇護し,潰瘍の治癒を促進するような食事が必要と考えられ,牛乳やクリームと制酸剤を1時間ごとに頻回投与するSippy療法や,器械的ないし化学的刺激により,胃液分泌を促進する食品を避ける厳格な食事療法が唱道されてきた.
実際に種々の食品成分を摂取した際の胃内pHの変動をpHテレメーターを使用したラジオカプセルで測定すると,図1のように炭水化物食品であるくず湯や脂肪食品であるバターでは,服用後,十数分から30分にかけて胃酸が稀釈されて,わずかにpHの上昇がみられたのち,旧値に復するが,動物性蛋白質として,肉汁エキスを投与すると,図2のように服用後約30分間は胃酸は蛋白質により中和緩衝されて,胃内pHは明らかに上昇し,その後,ガストリンを介する酸分泌の影響を受けて,胃内pHは食前値以下に低下する.
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