プログレス
白血病治療の進歩
大野 竜三
1
1名古屋大学医学部第一内科
pp.49
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103492
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近年の白血病治療の進歩には目覚しいものがあり,小児急性リンパ性白血病(ALL)においては90%以上が,成人急性骨髄性白血病(AML)では70%以上が,白血病細胞が末梢血・骨髄より消失し,正常血球成分が回復する完全寛解に導入出来るようになった.完全寛解到達例のうち,小児ALLでは約50%が,成人AMLでは約20%が5年以上の長期生存をするようになった.また,化学療法では長期生存の期待出来ない症例には,組織適合抗原(HLA)の一致する兄弟姉妹からの同種骨髄移植や単クローン抗体を利用しての自己骨髄移植療法が行われ,良好な成績が得られている.
従って,白血病は治癒可能な悪性腫瘍であるので,治癒を目指した治療を行う時代となっており,また治療成績も治癒率において語られるようになってきた.しかしその治療を完全に遂行するためには,高度の骨髄抑制をもたらす強力な治療が必要であり,顆粒球減少に伴う重症感染症や血小板減少による重症出血等の合併症は必発するので,その治療遂行は容易ではなく,血球分離装置等の完備した専門施設にて治療さるべき疾患であることには変りはない.
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