今月の主題 免疫不全とAIDS
免疫不全発症のメカニズム
矢田 純一
1
1東京医科歯科大学・小児科
pp.2666-2670
発行日 1987年12月10日
Published Date 1987/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221425
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免疫不全症の分類
免疫不全症は免疫系そのものの異常によって生じる原発性免疫不全症と他の原因によって免疫系が2次的に障害を受けて発症する続発性免疫不全症に大別される.前者の多くは遺伝的な素因によって起こり,生下時からすでに発症しているので,先天性免疫不全症と呼ぶこともできる.しかし,一定の年齢に至ってから発症してくるものも存在する.
免疫不全症は免疫系のどこに欠陥があるかによっても分類される.すなわち,免疫系には,抗体やB細胞,T細胞のように抗原と特異的に(1対1の対応性をもって)反応する特異免疫系と食細胞(好中球やマクロファージ)や補体のように,抗原との特異的反応性をもたない非特異免疫系とがあり,それぞれの不全がある.特異免疫系の不全症は,さらに,B細胞-抗体産生系の不全,すなわち抗体欠乏症,T細胞-細胞性免疫系の不全,すなわち細胞性免疫不全症,その両系に欠陥のある複合免疫不全症などに分けることができるし,非特異免疫系の不全症は食細胞不全症,補体欠損症などに分けられる.現在広く用いられているWHO専門委員会の分類に基づいて,それらの関係と主な病型を簡略化して表1に示した.
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