増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅴ 消化器疾患治療薬
蛋白漏出性胃腸症
133.腸リンパ管拡張症の薬物治療・栄養法
小林 正文
1
1日本医科大学・第3内科
pp.2079
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221253
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腸リンパ管拡張症は,蛋白漏出性胃腸症の1つであり,稀な疾患である.主として小腸において粘膜固有層,粘膜下層のリンパ管に拡張が生じ,腸管腔内へのアルブミンをはじめとする蛋白質が生理的程度を越えて漏出することにより,低蛋白血症に基づく諸症状,続発性免疫不全などをきたす疾患である.
発生機序については不明な点も少なくないが,腸管粘膜から胸管に至るリンパ管系に器質的あるいは機能的な異常があり,中枢側へのリンパ流にうっ滞が起こり,そのため末梢側リンパ管内圧が上昇し,腸管壁内リンパ管の拡張と破綻をきたすため,蛋白が腸管内へ漏出するとされている.全身的なリンパ管系の異常を合併している例も報告されているが,一方,腸管壁のリンパ管拡張以外に何ら異常をみない例も報告されている.
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