増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅳ 循環器疾患治療薬
90.循環器疾患治療薬の最近の進歩
村山 正博
1
1聖マリアンナ医科大学・第2内科
pp.1962-1965
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221210
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循環器疾患治療薬開発の方向
循環器疾患治療薬の最近の進歩は目ざましい.本誌でもvol21, no7,1984に循環器薬の使い方の特集が組まれて,循環器薬最新の情報が記載されている.その後,3年経ってとくに画期的な発展があったというわけではないが,この間,数々の臨床治験が行われ,多くの薬剤が市販されるに至っている.個々の薬剤については各々の項を参照して頂きたいが,最近の薬剤開発にはいくつかの方向がある.
1つはlong acting(L)製剤の開発である.臨床薬理学の進歩は各種のpharmacokineticsの測定を可能とし,副作用なく最大の効果を挙げるための肌理細やかな投与法が日常臨床に取り入れられるようになった.それとともに,それを評価するための臨床効果の判定法が確立してきた.たとえば,抗狭心症薬効果判定において,ホルター心電図と運動負荷試験のルーチン化が果たした役割は大きい.このような背景の下に薬剤の必要かつ十分な効果を狙うためには,どうしても十分に長時間,高い血中濃度を維持し,臨床効果を持続させる薬剤開発の方向に向かうのは当然のことであろう.また,このことは,患者の薬剤服用のコンプライアンスの面から考えても有用なことである.
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