増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅲ 呼吸器疾患治療薬
その他の呼吸器疾患
88.肺結核の短期化学療法
泉 孝英
1
1京都大学結核胸部疾患研究所・内科
pp.1956-1957
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221208
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1970年前後からBMRC(British Medical Research Council)によって,主として開発途上国で開始された肺結核の短期化学療法の試みは,①治療の中断防止,②経費の削減,③薬剤の副作用防止,を目的とするものであった1).1980年代になって,シンガポール,東・中央アフリカ,アルジェリアでの治療・追跡データーが示されるに及んで,肺結核に対しては,rifampicin(RFP),isoniazid(INH)とpyrazinamide(PZA),またはstreptomycin(SM)/ethambutol(EB)を初めの2カ月間投与し,その後RF,INHの投与を4カ月,計6カ月の化学療法が,菌陰性化,再燃率を指標とする限り最も効率的であるとの見解はほぼ確立したといえる2).ここでは,この見解を支点に肺結核の治療について述べる.
しかし,ここで対象とする肺結核は,健常成人が初めて肺結核の治療を受ける場合であって,再治療例,compromised hostの肺結核は含めていない.理由とするところは,このような場合,短期化学療法が適用し得るか否かの成績はなく,従来の保守的な考え方に従わざるを得ないかも知れないからである.
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