増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅲ 呼吸器疾患治療薬
その他の呼吸器疾患
87.肺塞栓症の抗凝固療法
国枝 武義
1
1国立循環器病センター・内科心臓肺血管部門
pp.1954-1955
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221207
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肺の機能血管である肺動脈が塞栓子により閉塞する疾患が肺塞栓症である.塞栓子には血栓性,腫瘍性,脂肪性,空気性などがあり,このうち抗凝固療法の対象となるのは血栓性肺塞栓症に限られる.
肺血栓塞栓症は体静脈系にできた血栓の肺への流入によって起こり,静脈系血栓症の一環として捉え,治療・対策を立てる必要がある1).肺塞栓症では,肺高血圧の発症による右室負荷と肺ガス交換の障害による動脈血低O2血症が特徴的所見である.急性期肺塞栓症は,ほとんどの症例で抗凝固療法に加えて血栓溶解療法を併用することにより,塞栓の溶解・縮小を認め,内科的に治療管理することが可能である2).本稿では,肺血栓塞栓症の抗凝固・血栓溶解療法を中心に述べる.
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