増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅱ 神経・筋疾患治療薬
痙縮と異常運動
49.痙縮の薬物治療
田代 邦雄
1
,
松本 昭久
2
1北海道大学医学部・神経内科
2国立療養所札幌南病院・神経内科
pp.1866-1868
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221169
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筋トーヌスとは生体における筋の一定の緊張状態を示すと考えられ,その主な要因として関与しているのが伸張反射である.この伸張反射のうち,相動性反応相(相動性伸張反射)が亢進した状態が痙縮として表現されている.
一般に伸張反射は他の制御系からの調節をもうけているが,脊髄レベルでは介在ニューロンを介して,主動筋の腱器官および拮抗筋の筋紡錘よりの入力信号が,単シナプス性伸張反射に対して抑制性の制御をしている.その他,皮膚などの感覚受容器からの屈筋運動ニューロンへの多シナプス性の興奮性制御,およびレンショー細胞を介するα運動ニューロンへの反回性抑制などの制御もなされている.一方,脳からは錐体路の他,錐体外路系による多シナプス性の興奮性・抑制性の制御がα運動ニューロン自体に,あるいはα-γリンケージを介してなされている(図).
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