増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅱ 神経・筋疾患治療薬
痛みとしびれ
39.しびれの薬物治療
安藤 一也
1
1国立療養所中部病院
pp.1840-1841
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221159
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しびれという言葉は医学用語ではなく一般に用いられる日常用語で,患者の訴えるしびれの内容は異常知覚や知覚鈍麻とは限らないで,ときには脱力を意味していることもある.そこで診療にあたっては,そのしびれの内容をよく確かめることがまず必要である.しびれとしての訴えの中で最も多いのは異常知覚で,これは自発的あるいはなんらかの外的刺激で誘発される異常な知覚である.その性質は,びりびり,じんじん,ちくちく,ずきずき,電気の走る感,蟻走感,灼熱感,こわばり感,などさまざまである.冷感を伴ったり,痛みを伴うこともある.口の周辺,手,足など身体の一部に限局することも,四肢全体あるいは半身,ときに全身に感じられることも,放散することもある.
しびれの訴えが異常知覚である場合には,その性質,起こり方,部位,一過性か持続性か,これまでの経過,誘発要因などについて十分に問診し,知覚検査,筋力テスト,反射の検査など,ベッドサイドでの神経学的診察と必要な補助検査を行って,異常知覚の病態と基礎疾患のめやすをつけ,それに対応した治療を行うべきである.異常知覚を生じるのは神経疾患のみならず,一般内科疾患や精神疾患の部分症状として起こることもあるので,この点にも留意する.
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