連載 症候学メモ・14
しびれ
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.153
発行日 1986年2月1日
Published Date 1986/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205657
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- 文献概要
◆「しびれ」という言葉は世間でいろいろな意味で用いられている。およそ3通りに使われているが,専門的には一方を他方と間違えると診断が狂いかねないので,問診には十分注意しなくてはならない。
◆患者が「両足がしびれる」といって来たとき,我々は自発的な異常な感覚が足に生じたのだろうと考える。従って,「それは恰度,長く坐っていた後のようにしびれるのですね。」というと,「そうです。」と患者は答えるので,あのビリビリとした,神経学用語でいえば蟻走感があるのだな,と納得する。しかし,これがそうでないことがある。長く正座していた後の,立って歩こうとしたら足に力の入らない状態を「しびれ」ととらえている人がいるからである。つまり,この種の人にとっては「しびれる」とは脱力をさしていることなのである。
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