特集 しびれにご用心
エビデンスに基づく対症療法
しびれの薬物療法
高橋 一司
1
1慶應義塾大学病院神経内科
キーワード:
しびれ
,
ビタミン製剤
,
鎮痛補助薬
,
抗てんかん薬
,
抗不整脈薬
,
抗うつ薬
Keyword:
しびれ
,
ビタミン製剤
,
鎮痛補助薬
,
抗てんかん薬
,
抗不整脈薬
,
抗うつ薬
pp.738-743
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100415
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Question & Answer
Q:しびれや痛みの対症療法のうち,エビデンスに基づいて選択すべき鎮痛補助薬にはどのようなものがあるか?
A:現時点では,抗うつ薬(とくに三環系),抗てんかん薬(カルバマゼピン,フェニトイン)の使用が勧められる.これらの薬剤では,疼痛を半減させるNNT(number-needed-to-treat)が,およそ2と低いことが報告されているからである.
日常の診療で“しびれ”を主訴とした患者に接する機会は多い.しびれの薬物療法では,その原因疾患を診断し,それに基づき適切な薬剤を選択することが何よりも重要である.その一方,日常の臨床では“しびれ”そのものを緩和させる対症療法が必要とされる現実もある.感覚異常としての“しびれ感”には,表1に示すように陽性徴候と陰性徴候がある.このうち薬物療法の対象になるのは,主として陽性徴候であり,これらに対してビタミン製剤や抗てんかん薬などが汎用されている.このような薬剤では,作用機序に関する基礎データやrandomized controlled trial(RCT)があっても,meta-analysisを用いた検討となると状況は厳しく,現代に通用するエビデンスが確立されているとはいえない.EBMを目指している臨床医として,最も判断のよりどころのない分野である.
本稿では,まず“しびれ”の対症療法として使用頻度の高いビタミン製剤を取り上げ,次に鎮痛補助薬を概説し,最後に診療ガイドラインが提唱されている糖尿病性神経障害の治療を紹介してみたい.
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