今月の主題 膠原病診療の実際
診断基準の必要性とその生かし方
横張 龍一
1
1国立病院医療センター・内科
pp.1355-1359
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221035
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膠原病の諸疾患は,共通する病理組織所見に基づいて,一つの範疇におかれたもので(Klemperer),多かれ少なかれ多臓器障害性であり,共通する病態を呈しうる.病像の整っていない発病初期の鑑別は必しも容易ではない.それぞれの疾患に特徴的なものとして何を重視するかによって,診断が違ってくることもある.膠原病の諸疾患の治療法は必ずしも同一ではなく,予後も異なる.適切な診療のためには正しい診断が要求される.他方,膠原病の臨床研究においては,諸疾患の間での比較検討が問題になる.その研究成果を適切に評価するためには各疾患の診断根拠がはっきりしていた方がよい.アメリカリウマチ協会(ARA)が提唱した慢性関節リウマチ(RA)診断基準1),全身性エリテマトーデス(SLE)分類基準2,3),強皮症分類基準4)などは,そのような要求に応ずるものとして広く採用されている.これら診断基準と分類基準の意義と,その採用にあたっての注意を述べてみたい.
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