感染症メモ
無菌性感染性心内膜炎
袴田 啓子
1
1東京都済生会中央病院・内科
pp.368-369
発行日 1986年2月10日
Published Date 1986/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220242
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無菌性感染性心内膜炎は,感染性心内膜炎(in-fective endocarditis;IE)の存在を強く疑わせる臨床症状があるが持続的に血液培養が陰性(少なくとも4本が陰性)であるものをいい,その頻度は5〜40%と報告されている.無菌性IEは診断的にも治療的にも十分な注意を要する.
無菌性IEの原因には,表1に示した項目があげられる.最も多い原因は,不用意に投与された抗生物質と考えられる.IEを疑った場合は少なくとも2本ずつ6本の血液培養が必要であるが,2週間以内に抗生物質を使用している場合はさらに多くの培養を必要とする.この際,状態が許せば抗生物質の最終投与から24〜72時間は待って血液培養を行うべきである.他の原因としては培養困難な細菌,たとえばHemophilusによる場合がある.Hemophilusが培養された場合とされない場合では,無菌性IEの頻度がそれぞれ16.2%と23.3%であり,有意差(p<0.001)があるという報告がある.
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