治療のポイント
細菌性心内膜炎
長谷川 弥人
1
1慶大内科
pp.1286-1288
発行日 1966年9月10日
Published Date 1966/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201465
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診断
本症の確診は血液培養で菌を証明することにある。少しでも疑わしいときは抗生剤を投与せずに3〜4回培養する。重症のときは1日に2回以上採血する。最近カルチアボトルが市販され,往診先でも容易にできるようになつた。本症を疑う所見として,(1)心弁膜症に発熱,肋膜炎,腎炎,貧血,肺浸潤,脳栓塞などいろいろの疾患が合併したようにみえるとき,(2)心臓障害の割合に自覚症の強く,心臓神経症などと思われるとき,(3)不明の発熱,(4)急性腎炎に貧血または脾腫のあるときすなわち定型的でない腎炎,(5)重篤な疾患たとえば悪性腫瘍などがあつても,個々の症状がそれのみで説明できないとき,などがあげられる。
菌が証明されなくとも,心臓弁膜症があつて,塞栓症状と感染症状があれば,ほとんど誤りはない。まぎらわしいのはリウマチ熱である。ときには両者の合併例もある。Osler痛斑,Janewayの発疹,Roth斑など塞栓症状があること,脾腫,菌の証明が細菌性心膜炎で,遊走性多発性関節炎,皮下結節,輪状紅斑,ASLOの高値はリウマチ熱である。またサリチル酸剤で下熱するのも参考となる。
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