今月の主題 止血機構とその異常
出血性疾患の臨床;病態とその診断
薬剤起因性の出血傾向
久米 章司
1
,
田部 章
2
,
東原 正明
2
1山梨医科大学病院・検査部
2東京大学医学部・第1内科
pp.238-240
発行日 1986年2月10日
Published Date 1986/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220215
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臨床的に使用されている種々の薬剤によって,かなりの頻度に止血異常がもたらされることはよく知られている.しかし薬剤起因性の出血による症状は軽度で一過性で,ときには見過されることも多い.さらに臨床的に止血異常が明らかになっても,大抵の患者は複数の薬剤の投与を受けていて,いずれが原因薬剤であるか不明である場合も少なくない.また臨床症状を呈さない軽度の止血異常を有する患者への薬剤の投与が,明らかな出血を誘発することもある.さらに抗凝固療法施行中の患者への他薬剤の投与が,抗凝固剤の代謝に変化をもたらし,出血傾向をきたすこともある.このように薬剤誘起性の出血傾向は,注意すればかなりの数にみられるが,正確なこの頻度は不明1)というほかはない.本稿では薬剤起因性の出血傾向について,凝固および血小板系における問題について簡単にふれてみたい.
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