今月の主題 ウイルス肝炎—現況と展望
さまざまな病態
劇症肝炎の病態生理
藤原 研司
1
,
正木 尚彦
1
1東京大学医学部・第1内科
pp.998-1001
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219783
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劇症肝炎は,外国では一般にウイルス肝炎の一型として扱われているが,本邦では1981年以来表1のような診断基準が広く用いられている.すなわち,ウイルス性肝炎,薬剤性肝炎などで重篤な肝障害の結果,脳症を特徴として進展した症候群と理解される1).したがって,その病態は,肝細胞壊死とそれに伴う肝細胞機能の脱落による血漿成分の異常により成立し,臨床上,肝性脳症,黄疸,血液凝固異常,腎障害の他,肺,心,膵など多臓器に障害が出現する.
本稿では,これら劇症肝炎の病態のうち,とくに問題となる肝性脳症を中心に述べ,血液凝固異常についても簡単にふれることとする.
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