病気のはなし
劇症肝炎
井上 和明
1
,
山田 雅哉
1
,
与芝 真
1
1昭和大学藤が丘病院消化器内科
pp.1048-1052
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905965
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新しい知見
劇症肝炎の予後は原因により大きく異なることより,その原因診断には迅速性が求められる.抗原,抗体を用いた原因ウイルス診断は,抗原による診断はウイルス量の少ない場合は役に立たず,抗体による診断は抗体が急性期に出現しない場合は役に立たない.近年迅速診断法として,realtime detection PCR(RTD-PCR)が普及しつつある.この方法の原理は次のとおりである.1組のプライマーの間に,両端を別々の色素で標識されているプローブを設定すると,両者の距離が近い場合はエネルギーを打ち消し合って発光しないが,PCRを行うことによりTaqの5′エクソヌクレアーゼ(exonuclease)活性により色素が遊離されるとエネルギーの打ち消し合いが解消されて発光する.発光の立ち上がりのサイクル数を解析することによりDNAおよびRNAの定量を短時間で施行することも可能になっている.
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