今月の主題 ウイルス肝炎—現況と展望
臨床のみかた
肝臓を侵すその他のウイルス
三宅 和彦
1
,
糸数 憲二
1
1帝京大学医学部・第1内科
pp.996-997
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219782
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肝を侵すウイルスのうちA型,B型,非A非B型肝炎ウイルスが主として肝を標的器官にしているため,いわゆる肝炎ウイルスとして知られているが,実際にはほとんどのウイルスの急性感染症には程度の差はあれ一過性の肝障害を伴っていることが多い.肝炎ウイルス以外の肝を侵襲するウイルスには表1に示すような種々のウイルスがあるが,日常診療上留意すべきウイルスとしてEpstein-Barrウイルス(EBウイルス),サイトメガロウイルスが代表的ウイルスであるので,ここではこれらを中心に述べ,他のウイルスについての詳細は他の成書(文献1,2)を参照されたい.
周知の通り非A非B型肝炎ウイルスは感染の同定ができず,このウイルスによる肝炎は除外診断によるのが現状である.臨床経過が良好な“非A非B型急性肝炎”には肝炎ウイルス以外のウイルス感染も考慮されるべきである.そのほか最近注目されている後天性免疫不全症候群(aquired immunodeficiency syndrome,AIDS)では高頻度に肝障害を伴っており,その起因ウイルスとされるHTLウイルス(Ⅲ型)が将来ウイルスリストに加えられることであろう.
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