臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
137.CPK,CPKアイソザイム
里吉 営二郎
1
Eijiro Satoyoshi
1
1国立武蔵療養所神経センター
pp.2426-2427
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219458
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CPK(creatine phosphokinase)は筋の小胞体に多量に含まれている酵素で,しばしばCK(creatine kinase)とも呼ばれている.CPKはATPおよびADPを補酵素としてLohman反応を触媒し,エネルギー産生に重要な働きをしている.CPKは骨格筋に大部分が存在し,血球中には存在しないため,初期には,血清CPKの測定は筋疾患,ことに筋ジストロフィー症の早期診断にきわめて有効と考えられていたが,その後心筋,脳に存在することが明らかにされた.血清CPKの上昇は筋,心筋および脳の破壊によって組織より血中に流入したもので,破壊された臓器によってそれぞれのアイソザイム(異種型)を示すので,アイソザイム測定によって障害部位ないし臓器を推定し,その対策を立てるのに役立っている.
正常骨格筋のCPKはすべて筋型(MM型)であるが,胎児では3カ月までは脳型(BB型)をとり,それ以後はMM型が現れる.心筋ではMM型のほかに中間型(MB型)が約30%含まれている.血清中にMB型が生ずればほとんど心筋由来と考えてよい.脳や神経では大部分BB型(脳型)であるが,少量のMB型やMM型を含むことも知られている.ことに大脳灰白質はすべてBB型であるが,白質にはMM型とMB型が数%含まれている.
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