特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
I.循環器系
14.心疾患の臨床検査
CPKの臨床的意義
後藤 幾生
1
1九大脳研神経内科
pp.936-940
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204159
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CPKとは
Creatine phosphokinase(CPK)は,
ATP+クレアチン(Creatine)⇄ADP+クレアチン燐酸(Creatine phosphate)
のように,クレアチンとATPよりクレアチン燐酸とADPを生成する反応,あるいはその逆の反応を可逆的に触媒する分子量81,000の酵素である.本酵素は骨格筋に最も多く,全身のCPKの約96%が含まれており,次いで心筋,脳,平滑筋などに含まれている.その他,肝・腎・赤血球にごく少量含まれているが,臨床的には無視しうる程度である.
このCPKの触媒によって生成あるいは分解されるクレアチン燐酸は,筋肉においてATPとともに高エネルギー貯蔵体として働いている.すなわち,筋肉の収縮時にはATP,あるいはクレアチン燐酸の高エネルギー燐酸結合によって生ずるエネルギーが利用され,静止時には前記反応が右へ進み,ATPの筋への供給を容易にし,クレアチン燐酸としてエネルギーを貯蔵する.このようにCPKは身体各部のエネルギー代謝に重要な役目を果たしている.
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