臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
120.CPKアイソザイム
石浦 章一
1
,
杉田 秀夫
2
1国立神経センター疾病研究第1部
2東大神経内科
pp.1904-1905
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216224
- 有料閲覧
- 文献概要
CPKアイソザイムの臨床的意義
血清CPKの測定は筋疾患,とくにDuchenne型筋ジストロフィー症の早期発見に多大な貢献をした.しかし,当初考えられていたように血清に検出されたCPKは筋肉のみに由来するのではなく,他臓器からのアイソザイムが混入していることが明らかになった.CPKはこの臓器特異性のほかに血球には存在しないため,CPKの血清への漏出が,それが局在する筋肉,脳,心筋細胞の破壊を意味し,その異種(アイソザイム)型の検索によって障害個所の推定や,予知に役立つと考えられている.
正常骨格筋のCPKはすべて筋型(MM型)である.しかし,3カ月までの胎児ではBB型(脳型)をとり,以後MM型があらわれる.心筋ではMM型のほかに中間型(MB型)を持つことが特徴で約30%がこれである.血清にみられるMB型は主として心筋由来であると考えられる.平滑筋はこれらとは違いBB型を含むのが特徴である.一方,脳や神経においては大多数がBB型であるが,少量のMB型やMM型を含むことが知られている.とくに大脳灰白質はすべてBB型であるが,白質には数パーセントのMM型とMB型が存在し,小脳では異常MM型(電気泳動でMM型と一致した移動度を示すが,抗ヒトMM抗体とは交叉しない)が15%ほど存在すると言われている.正常な血清CPKはMM型のみであり,すべて骨格筋由来である.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.